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京都市北区の静かな住宅街に佇む船岡温泉は、大正12年(1923年)に創業した歴史ある銭湯です。元々は料理旅館「船岡楼」の浴場として建てられ、その後、銭湯として独立し、現在に至ります。その外観は、唐破風造りの屋根が特徴的で、まるで時代を超えた美しさを放っています。
暖簾をくぐり、木の香り漂う玄関を進むと、目の前に広がるのは色鮮やかなマジョリカタイルで装飾された空間。このタイルは大正から昭和初期にかけて日本で製造されたもので、現在では非常に貴重な存在となっています。天井を見上げれば、鞍馬天狗と牛若丸の彫刻が施され、まるで物語の一場面に迷い込んだかのような感覚に陥ります。
脱衣所から浴室へと足を運ぶと、そこには多彩な湯船が待っています。日本初の電気風呂やジェットバス、薬湯、高温深風呂、浅風呂、泡風呂、渦巻風呂、サウナ、冷水風呂など、まるで温泉テーマパークのような充実ぶりです。特に露天風呂は、総檜造りの浴槽と、七色に変わる貴船石を使用した岩風呂の2種類があり、日替わりで男女が入れ替わるため、訪れるたびに新たな魅力を発見できます。
船岡温泉は、ただの銭湯ではなく、京都の歴史と文化を肌で感じられる場所です。地元の人々に愛され続け、観光客にもその魅力が広がっています。浴室内では、地元の方々との何気ない会話が生まれ、京都の日常を垣間見ることができます。また、近隣には船岡山公園や建勲神社などの観光スポットもあり、散策と併せて訪れるのもおすすめです。
船岡温泉は、京都の伝統と現代が融合した、心温まる場所です。その歴史的な建築美と多彩な湯船、そして地元の人々との触れ合いを通じて、京都の深い魅力を感じることができるでしょう。