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岡山県総社市の奥深く、標高約400メートルの鬼城山の頂に、古代の山城「鬼ノ城」が静かに佇んでいます。この城は、7世紀後半から8世紀初頭にかけて築かれたとされ、その起源や目的には未だ多くの謎が残されています。城壁は全長約2.8キロメートルに及び、幅約7メートル、高さ6~7メートルの土石混築で構成されています。東西南北に4つの城門が設けられ、さらに6つの水門が雨水を城外へ排水する役割を果たしていました。城内には、食品貯蔵庫と考えられる礎石建物跡やのろし場、水汲み場もあり、長期滞在も可能な山城だったといわれています。 (wajinden.com)
この地には、桃太郎伝説の原型ともされる温羅伝説が息づいています。異国の鬼神・温羅が吉備国に現れ、備中国の新山に城を築き、しばしば都へ送る物資を奪ったり、婦女子を攫ったと伝えられています。人々は恐れおののき、その城を「鬼ノ城」と呼ぶようになったとされています。現在、新山集落の一画には、温羅が使用していたとされる「鬼の釜」という大釜が残されています。 (wajinden.com)
城の西門からは、瀬戸内海や遠く小豆島まで見渡せる絶景が広がります。晴れた日には、青い海と空が溶け合い、訪れる者の心を奪います。城内を歩けば、古代の人々の息遣いが聞こえてくるかのような錯覚に陥ります。石垣や土塁、城門跡など、随所に歴史の痕跡が残されており、訪れる者に深い感慨を与えます。
鬼ノ城は、日本100名城の一つにも数えられ、その歴史的価値は計り知れません。しかし、史書に記載がないため、築城の目的や時期など、多くの謎が残されています。この神秘的な城を訪れることで、古代のロマンに思いを馳せることができるでしょう。
岡山県総社市の鬼ノ城は、歴史と自然が織りなす魅力的なスポットです。古代の山城を巡りながら、温羅伝説に思いを馳せ、瀬戸内海の絶景を堪能する。そんな贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。