鯛よし百番

大阪市西成区の歴史ある料亭

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大阪市西成区の一角、飛田新地の南東端に佇む「鯛よし百番」は、時の流れを超えて大正時代の華やぎを今に伝える料亭である。その外観は、唐破風の玄関と朱塗りの欄干が特徴的で、夜になると赤提灯が灯り、幻想的な雰囲気を醸し出す。

この建物は、大正末期に遊郭として建てられたもので、戦火を免れ、当時の姿をほぼそのままに残している。2000年には国の登録有形文化財に指定され、その歴史的価値が認められた。内部に足を踏み入れると、日光東照宮の陽明門を模した豪華な装飾が目を引く。天井には龍が舞い、壁には天女や牡丹の絵が描かれ、まるで別世界に迷い込んだかのような感覚に陥る。

1階の待合室「日光の間」は、金色に輝く装飾が施され、訪れる者を非日常の世界へと誘う。また、京都の三条大橋を模した朱塗りの階段を上がると、2階には中庭を囲むように14の個室が並ぶ。各部屋は、屋形船を模した「喜多八の間」や、船底天井が特徴的な「紫式部の間」など、趣向を凝らした造りとなっており、訪れるたびに新たな発見がある。

料理は、鯛ちりやすき焼きなどの鍋料理や会席料理が中心で、歴史的な空間で味わう食事は格別である。完全予約制で、昼夜ともに同じメニューが提供される。月曜日が定休日だが、10名以上の予約があれば相談に応じてくれる。

かつての遊郭の面影を色濃く残す「鯛よし百番」は、時代を超えて多くの人々を魅了し続けている。その豪華絢爛な建築と、歴史を感じさせる空間での食事は、訪れる者に忘れがたい体験を提供してくれるだろう。