鬼城山(鬼ノ城)

日本100名城の一つである古代山城

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岡山県総社市の奥深く、標高約400メートルの鬼城山の頂に、古代の山城「鬼ノ城」が静かに佇んでいます。この城は、吉備高原の南端に位置し、眼下には総社平野が広がり、遠くには瀬戸内海の輝きが望めます。かつてこの地は、海が内陸深くまで入り込み、鬼ノ城からはその内海を見下ろすことができたと言われています。 (tabi.jtb.or.jp)

城壁は、山の八合目から九合目にかけて、約2.8キロメートルにわたり鉢巻状に巡らされています。その幅は平均約7メートル、高さは約6メートルにも及び、要所には高い石垣が築かれています。これらの城壁は、直線を基本とし、地形に応じて内外に「折れ」を持たせることで、敵の侵入を防ぐ工夫が施されています。 (city.soja.okayama.jp)

城内は約30ヘクタールの広大な平坦地で、4つの谷を含んでいます。谷部には排水のための水門が6か所設けられ、城門は東西南北の4か所に配置されています。城内には、食品貯蔵庫と考えられる礎石建物跡や、のろし場、水汲み場などが確認されています。 (city.soja.okayama.jp)

この地には、百済の王子である温羅(うら)が吉備国にやって来て、鬼ノ城を築き、しばしば都へ送る物資を奪ったという伝説が残されています。人々は彼を恐れ、「鬼ノ城」と呼び、その暴状を都へ訴えたとされています。 (city.soja.okayama.jp)

鬼ノ城は、歴史書には記載がなく、その築城の目的や時期については諸説ありますが、663年の白村江の戦いで唐・新羅の連合軍に大敗した後、国土防衛のために築かれた山城の一つとする説が有力です。 (tabi.jtb.or.jp)

現在、鬼ノ城は日本100名城の一つに数えられ、復元された西門や城壁、敷石などが見学できます。城内を巡る2.8キロメートルの遊歩道は、四季折々の自然と歴史の息吹を感じさせ、訪れる人々を魅了しています。

鬼ノ城は、古代のロマンと自然の美しさが融合した、訪れる者の心を打つ場所です。その壮大な景観と歴史の謎に思いを馳せながら、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。