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高山昭和館の扉を開けると、そこには昭和30年代の日本が広がっています。木製の引き戸を引くと、まず目に飛び込んでくるのは、色とりどりの駄菓子が並ぶ店先。懐かしい飴玉やラムネ瓶が所狭しと並び、子供の頃の甘酸っぱい記憶が蘇ります。
奥へ進むと、細い路地に昭和の街並みが再現されています。床屋の赤白青のサインポールがくるくると回り、電器店のショーウィンドウには、当時最新鋭だったブラウン管テレビやラジオが誇らしげに並んでいます。写真館の前には、家族写真を撮るために正装したマネキンが微笑み、雑貨店の棚には、今では見かけなくなった日用品が整然と並べられています。
通りを歩くと、昭和の香りが漂う映画館が現れます。ポスターには、当時の名作映画のタイトルが踊り、館内からは懐かしい映写機の音が聞こえてきます。座席に腰を下ろせば、白黒のスクリーンに映し出される物語に、時を忘れて引き込まれることでしょう。
さらに進むと、昭和の家庭が再現された一角に辿り着きます。ちゃぶ台を囲む家族の団らん、畳の上に置かれた黒電話、壁に掛けられたカレンダーには、昭和の年号が記されています。台所には、薪で炊くかまどや、手動の洗濯機が置かれ、当時の生活の息吹が感じられます。
2階へ上がると、昭和の小学校の教室が再現されています。木製の机と椅子、黒板には先生の筆跡が残り、壁には当時の教育ポスターが貼られています。窓から差し込む柔らかな光が、教室全体を温かく包み込み、子供たちの笑い声が聞こえてきそうな雰囲気です。
高山昭和館は、昭和の時代を知らない世代にも、その温かさや人々の暮らしを伝える場所です。展示物の一つ一つに、当時の人々の思いや工夫が込められており、訪れる人々に懐かしさと新鮮な驚きを提供しています。ここを訪れれば、昭和の時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わい、心温まるひとときを過ごすことができるでしょう。