About
飛騨高山の静寂な山間に、時を超えた物語を紡ぐ場所がある。築180年の合掌造りの古民家が、今や千体ものテディベアたちの安息の地となっている。その木の梁や柱は、長い年月を経てなお、温もりと歴史の重みを感じさせる。
館内に足を踏み入れると、柔らかな光が差し込む空間に、大小さまざまなベアたちが迎えてくれる。100年以上前に生まれたビンテージベアの穏やかな微笑みや、国内外のアーティストが手がけた個性豊かな作品が並ぶ。それぞれのベアが持つ物語が、訪れる者の心に静かに語りかけてくる。
特に目を引くのは、2メートルを超える巨大なベアが佇むチャペル。ここは恋愛成就のパワースポットとして知られ、多くのカップルが愛を誓いに訪れる。ベアの優しい眼差しが、二人の未来を祝福しているかのようだ。
2階へと続く階段を上がると、静寂に包まれた空間が広がる。壁一面に広がる宇宙の映像と、心地よい音楽が流れる中、ソファに身を沈めると、日常の喧騒を忘れ、心が解き放たれる。ここでは、時間がゆっくりと流れ、訪れる者に深い癒しを与えてくれる。
併設されたカフェでは、地元のオーガニック食材を使った料理や、手作りのスイーツが楽しめる。特に、テディベアを模したチョコレートパフェは、その愛らしい姿と甘美な味わいで、多くの人々を魅了している。木の温もりが感じられる店内で、ベアたちに囲まれながら過ごすひとときは、心を豊かにしてくれる。
ショップには、世界各国から集められたテディベアや、オリジナルグッズが並ぶ。中でも、飛騨地方の伝統的な人形「さるぼぼ」をクマにアレンジした「くまぼぼ」は、ここでしか手に入らない特別な一品だ。訪れた記念に、自分だけのベアを見つける楽しみも、この場所の魅力の一つである。
この場所は、ただのミュージアムではない。テディベアを通じて、人々に愛と癒し、そして環境への思いを伝える、心のオアシスである。訪れる者は、ベアたちの優しさに包まれ、日常の疲れを忘れ、心の奥深くで何か大切なものを見つけることができるだろう。