About
関ケ原の地に足を踏み入れると、時の流れが逆巻き、戦国の世へと誘われるかのような錯覚に陥る。ここは、関ケ原ウォーランド。約1万坪の広大な敷地に、240体以上の等身大武将像が配置され、1600年の関ケ原合戦が再現されている。
園内を歩けば、東軍と西軍の陣形が目の前に広がる。徳川家康が最後の陣を敷いた陣場野では、首実検の様子が生々しく再現され、石田三成の笹尾山では、彼の気勢が感じられる。各武将の像は、造形作家・浅野祥雲の手によるもので、独特の色彩と表情が、戦場の緊張感と人間模様を伝えている。
この地は、かつて3万6千人もの命が失われた戦場である。初代館長・谷口玉泉は、父の遺言と自身の戦争体験から、「ノーモア関ケ原」という非戦の祈りを込めて、このテーマパークを創設した。園内には、武田信玄の亡霊の像があり、その横には「もう争いはやめい!」という言葉が刻まれている。これは、戦争の愚かさを伝えるメッセージであり、訪れる者の心に深く響く。
また、関ケ原ウォーランドでは、毎年「関ケ原和傘物語・和傘灯り物語」が開催される。300本以上の和傘が昼夜で織りなす幻想的な空間は、平和への願いと和の文化の美しさを象徴している。夜にはライトアップされ、和傘の灯りが闇夜に浮かび上がり、訪れる者を魅了する。
さらに、6,000個の風鈴が並ぶ「関ケ原願掛け風鈴まつり」も同時開催される。風鈴の音色が響き渡る中、訪れた人々は短冊に願いを綴り、薬師如来像の前で平和を祈る。この風鈴と和傘の共演は、関ケ原の地に新たな命を吹き込み、訪れる者に深い感動を与える。
関ケ原ウォーランドは、単なる観光地ではなく、歴史の教訓と平和への願いを伝える場所である。戦国の世の激しさと、人々の想いが交錯するこの地で、過去と現在、そして未来をつなぐ旅を体験してみてはいかがだろうか。