長谷寺

ウサギ観音で有名な寺院

About

佐渡の山間に佇む長谷寺(ちょうこくじ)は、静寂と歴史が息づく場所である。807年、弘法大師によって開かれたこの寺は、時を超えて多くの人々の心の拠り所となってきた。境内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、全長6メートルにも及ぶ巨大なウサギ観音像である。この像は、草取りを手伝うウサギたちへの感謝の意を込めて建立されたもので、その胸には十一面観音が刻まれている。夜になると、その目が赤く光り、訪れる者を幻想的な世界へと誘う。 (sado-choukokuji.jp)

境内には、かつて140羽ものウサギが放し飼いにされており、訪れる人々の心を和ませていた。これらのウサギたちは、除草作業を手伝う「草取りウサギ」として飼育されていたが、近年の多頭飼育による問題から、その数は減少している。しかし、今もなお、境内のあちこちで愛らしい姿を見せてくれる。 (joetsu.ne.jp)

春になると、境内は牡丹の花で彩られ、「花の寺」としての名声を高める。5月上旬には、色とりどりの牡丹が咲き誇り、訪れる者の目を楽しませてくれる。また、これらの牡丹は観賞用だけでなく、古来より漢方薬としても用いられ、北雪酒造によって「ぼたん酒」としても提供されている。 (sado-biyori.com)

長谷寺の歴史は深く、かの世阿弥も佐渡に流された際、この地を訪れ「金島書」にその名を記している。境内には、樹齢千年以上とされる三本杉がそびえ立ち、その威厳ある姿は訪れる者に深い感銘を与える。また、境内の高野槙は樹高40メートル以上、推定樹齢500年以上とされ、その存在感は圧巻である。 (niyodogawa.org)

近年、ウサギの多頭飼育による問題が報じられたが、住職やボランティアの尽力により、飼育環境の改善が進められている。訪れる者は、ウサギたちとのふれあいを通じて、命の大切さや自然との共生の意義を感じ取ることができる。 (joetsu.ne.jp)

長谷寺は、歴史と自然、そして人々の温かさが交差する場所である。訪れる者は、静寂の中に響くウサギの足音や、風に揺れる牡丹の香り、そして古の時を感じさせる建造物の数々に心を打たれることであろう。佐渡の山間に佇むこの寺は、訪れる者に深い感動と癒しを与えてくれる。