長崎孔子廟中国歴代博物館

日本唯一の本格的な中国様式の孔子廟で、豊富な中国の歴史的文物を展示

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長崎の街角に佇む一角、そこには時を超えた異国の風が静かに息づいている。朱塗りの門をくぐれば、目の前に広がるのは極彩色の建築美。ここは、1893年に清朝政府と在日華僑の手によって建立された、日本で唯一の本格的な中国様式の霊廟である。

門を抜けると、孔子の高弟である七十二賢人の石像が整然と並ぶ。それぞれが異なる表情と姿勢を持ち、まるで時を超えて訪れる者に語りかけてくるかのようだ。これらの像はすべて大理石で作られ、一体の重さは約1.5トンにも及ぶ。二年の歳月をかけて現在の位置に整列させたという。

正面にそびえる大成殿には、国内最大の孔子坐像が鎮座している。その威厳ある姿は、訪れる者の心に深い敬意を抱かせる。殿内には、孔子の教えが刻まれた扁額や、精緻な装飾が施された柱が並び、学問の神聖な空気が漂っている。

大成殿の奥には、中国歴代博物館が併設されている。ここでは、北京故宮博物院をはじめとする中国各地の博物館から提供された国宝級の文物が展示されている。青銅器や磁器、唐代の三彩、明・清代の美術工芸品など、多彩な展示品が訪れる者を魅了する。特に、故宮博物院提供の美術品は、中国国外ではここでしか観ることができない貴重なものである。

また、長崎孔子廟には中国の伝統芸能である「変面」の技を持つ変面師が所属しており、イベントなどでその神秘的な舞を披露する。その仕掛けは国家機密とされるほどで、観る者を一瞬で魅了する。

この場所は、長崎の地に根付いた異国文化の象徴であり、訪れる者に深い感銘を与える。歴史と文化が交差するこの空間で、時を超えた旅を体験してみてはいかがだろうか。