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徳島県小松島市の中心部、緑豊かな小松島ステーションパークの一角に、世界一大きなたぬきの銅像がそびえ立っています。高さ5メートル、胴回り5メートル、重さ5トンという堂々たる姿のこの像は、地元の人々から「金長たぬき像」として親しまれています。その背後には、手を叩くと水が流れ出す滝があり、訪れる人々に驚きと喜びを提供しています。 (city.komatsushima.lg.jp)
この金長たぬき像は、江戸時代末期に伝わる民話「阿波狸合戦」の主人公、金長たぬきを讃えるものです。物語によれば、日開野の染物屋・茂右衛門が、いじめられていたたぬきの金長を助けたことから始まります。恩返しのために茂右衛門の店の守り神となった金長は、店を繁盛させました。その後、四国のたぬきの総領である津田の六右衛門との間で壮絶な戦いが繰り広げられ、金長は勝利を収めるも深手を負い、茂右衛門に感謝を伝えた後、息を引き取ったとされています。 (city.komatsushima.lg.jp)
この伝説は、1939年に映画「阿波狸合戦」として公開され、大ヒットを記録しました。その後、映画の成功を記念して、金長たぬきを祀る金長神社が建立されました。現在、金長神社は商売繁盛や開運の神として、多くの参拝者が訪れる場所となっています。 (maff.go.jp)
また、1994年に公開されたスタジオジブリのアニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」では、金長たぬきがモデルとなったキャラクターが登場し、再び注目を集めました。映画公開直前には、高畑勲監督が小松島市を訪れ、金長たぬき像を見学したことも話題となりました。 (topics.or.jp)
小松島市内を歩けば、たぬきの愛らしい姿が至る所で目に入ります。南小松島駅前の「ぽんぽこ一家の像」や、八千代橋たもとの竹ちくわに挟まれた2匹のたぬき像など、町全体がたぬき文化に彩られています。これらのモニュメントは、地元の人々のたぬきへの愛情と、伝説を大切にする心を感じさせます。 (city.komatsushima.lg.jp)
金長たぬき像が立つ小松島ステーションパークは、家族連れや観光客で賑わう憩いの場です。公園内には、インクルーシブ遊具や本物の蒸気機関車の展示があり、子どもから大人まで楽しめるスポットとなっています。また、緑豊かな散策路を歩けば、金長たぬきとその仲間たちの石像が点在し、訪れる人々を物語の世界へと誘います。 (city.komatsushima.lg.jp)
春には、金長たぬきを称える「金長まつり」が開催され、地域全体が活気に満ち溢れます。この祭りでは、たぬきの練り歩きや伝統的な遊びが行われ、地元の文化と歴史を次世代へと伝える大切な機会となっています。 (city.komatsushima.lg.jp)
金長たぬき像は、ただの観光名所ではなく、小松島市の歴史と文化、そして人々の心の象徴です。訪れる人々は、この地に息づく伝説と、それを大切に守り続ける人々の温かさに触れることができるでしょう。