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京都御所の西側、烏丸通に面した一角に、護王神社は静かに佇んでいます。この神社は、平安京の建都に尽力した和気清麻呂公と、その姉で多くの孤児を育てた和気広虫姫を祀っています。
境内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、狛犬ならぬ狛猪の姿です。これは、清麻呂公が道鏡の陰謀を阻止した際、足の腱を切られ大隅国へ流される途中、300頭もの猪が現れて彼を守り、宇佐八幡宮へと導いたという伝説に由来しています。この出来事から、護王神社は「いのしし神社」として親しまれ、足腰の健康を願う人々の信仰を集めています。
境内には、猪の口から清らかな水が流れる手水舎があり、その鼻を撫でると幸運が訪れると言われています。また、本殿前の招魂樹の根元には「願かけ猪」の石像が鎮座し、その周囲には参拝者が願い事を書いた「座立亥串」が立てられています。これらは、清麻呂公が猪に助けられた故事にちなみ、足腰の健康や願い事の成就を祈願するためのものです。
毎月21日には「足腰祭」が執り行われ、参列者は本殿での祈願祭の後、表門前の御千度車を回し、足腰の大御守の下をくぐって健康を祈願します。この祭りは、足腰の病気や怪我の回復を願う人々にとって特別な日となっています。
さらに、境内には和気清麻呂公の銅像や、国歌「君が代」にも詠まれている「さざれ石」があり、歴史と文化の深さを感じさせます。また、社務所には全国から奉納された約3,000点の猪の置物や絵馬が展示されており、訪れる人々の目を楽しませています。
護王神社は、歴史と伝説が息づく場所であり、訪れる人々に深い感銘を与えます。足腰の健康を願う人々や、和気清麻呂公の信念と勇気に触れたいと願う人々にとって、ここは特別な場所となるでしょう。