蜘蛛碑

広瀬川の賢淵にまつわる蜘蛛伝説を記念する石碑

About

仙台市青葉区の広瀬川沿い、賢淵と呼ばれる深い淵のほとりに、ひっそりと佇む石碑がある。その表面には「妙法蜘蛛之霊」と刻まれ、時の流れに磨かれた文字が、訪れる者に静かに語りかけている。

この地には、古くから大蜘蛛の伝説が息づいている。ある日、釣り人が淵で糸を垂れていると、小さな蜘蛛が彼の足に糸を絡めてきた。不審に思った釣り人は、その糸を近くの柳の木に移した。すると突然、雷鳴のような音とともに、柳の大木が根こそぎ淵へと引き込まれてしまった。驚愕する釣り人の耳に、「賢い、賢い」という声が響いたという。この出来事から、この淵は「賢淵」と名付けられた。 (ameblo.jp)

石碑は、賢淵の主とされた大蜘蛛の霊を慰めるために建てられたと伝えられる。かつてこの地が茶屋町と呼ばれ、多くの茶屋や芸者が賑わいを見せていた頃、商売繁盛を願う人々がこの碑を訪れ、祈りを捧げたという。 (ameblo.jp)

広瀬川の流れは、時に穏やかに、時に激しく、この地の歴史と伝説を静かに見守ってきた。賢淵の深い青は、過去の物語を秘め、訪れる者に想像の翼を広げさせる。石碑の周囲には、季節ごとに異なる花々が咲き、自然の美しさと人々の信仰が交差する場所となっている。

この地を訪れると、古の伝説と現代の静寂が交錯し、心に深い余韻を残す。賢淵の蜘蛛碑は、時を超えて語り継がれる物語の証人として、今もなお静かに佇んでいる。