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大分県臼杵市の静寂な山間に、時の流れを超えて佇む臼杵磨崖仏がある。この地に足を踏み入れると、まるで千年の時を遡るかのような感覚に包まれる。岩肌に刻まれた仏たちは、平安時代後期から鎌倉時代にかけての匠の手によって生み出されたと伝えられ、その数は61体に及ぶ。これらの石仏群は、平成7年に磨崖仏として全国で初めて国宝に指定され、その芸術性と歴史的価値が高く評価されている。 (sekibutsu.com)
石仏群は、ホキ石仏第一群、ホキ石仏第二群、山王山石仏、古園石仏の四つのエリアに分かれている。それぞれの仏たちは、異なる表情と姿勢で訪れる者を迎え入れ、心に深い安らぎをもたらす。特に古園石仏の大日如来像は、その端正な顔立ちと穏やかな微笑みで、多くの人々を魅了してやまない。 (sekibutsu.com)
この地には、真名野長者伝説が語り継がれている。長者が亡き娘の菩提を弔うために、これらの石仏を彫らせたという物語は、今もなお人々の心に深く刻まれている。しかし、実際の造営者や目的は明らかではなく、その謎めいた背景が、石仏たちの神秘性を一層高めている。 (usuki-kanko.com)
石仏群の周囲には、四季折々の自然が広がる。特に夏には、石仏公園内の蓮畑が見頃を迎え、極楽浄土を思わせる美しい光景が広がる。また、近隣の満月寺には、ユーモラスな表情をした仁王像が立ち、訪れる者の心を和ませてくれる。 (sekibutsu.com)
臼杵磨崖仏は、ただの観光地ではなく、千年の時を超えて信仰と芸術が息づく場所である。ここを訪れることで、古の人々の祈りや想いに触れ、心の奥深くに響く何かを感じ取ることができるだろう。