神の倉の津波石

東日本大震災の遺構

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唐桑半島の深い森を抜け、潮騒が響く小径を進むと、突如として視界に現れる巨大な岩塊がある。それは「神の倉の津波石」と呼ばれ、2011年3月11日の東日本大震災の際、津波によって海底から打ち上げられたものだ。高さ約6メートル、幅約5メートル、推定150トンもの重さを持つこの岩は、周囲の岩場とは異なり、白っぽい色合いをしている。 (kesennuma-kanko.jp)

この津波石は、地元の漁師によって発見された。表面には貝や藻が付着しており、かつて海中にあったことを物語っている。この地の地層は約2億5千万年前の中生代前期三畳紀に形成された泥と砂礫が交互に堆積したものであり、津波石も同じ地層の岩石であることが確認されている。 (sanriku-geo.com)

この場所へは、唐桑半島ビジターセンターからトレッキングコースを辿り、約20分の道のりで到達する。道中、リアス式海岸特有の風景や、5月から6月にかけて咲くニッコウキスゲの花々が訪れる者の目を楽しませてくれる。 (kesennuma-kanko.jp)

この津波石は、自然の驚異と人間の無力さを象徴する存在であり、震災の記憶を後世に伝える貴重な遺構である。訪れる者は、手で触れ、その圧倒的な存在感を肌で感じることができる。この地を訪れることで、自然の力と人間の営みの儚さを深く感じ取ることができるだろう。