石割桜

盛岡市盛岡地方裁判所前庭の天然記念物

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盛岡市の中心部、内丸の官庁街に佇む盛岡地方裁判所の敷地内に、ひときわ目を引く桜の巨木がある。周囲21メートルもの巨大な花崗岩の割れ目から、樹齢360年以上とされるエドヒガンザクラが力強く枝を広げている。その名も「石割桜」。(iwatetabi.jp)

この桜の歴史は、江戸時代に遡る。かつてこの地には盛岡藩主南部家の家老の屋敷があり、その庭石の割れ目に桜の種が舞い込み、芽を出したと伝えられている。年月を経て、桜は成長し、硬い岩を押し広げながら天へと伸びていった。その生命力と美しさから、1923年(大正12年)には国の天然記念物に指定された。(morioka-hachimantai.jp)

春の訪れとともに、石割桜は淡いピンクの花を咲かせ、盛岡の春の象徴として多くの人々を魅了する。例年4月中旬から下旬にかけてが見頃で、昼間の陽光に照らされた姿もさることながら、夜間のライトアップによる幻想的な雰囲気も格別である。(moriokasakurafestival.com)

昭和7年(1932年)、盛岡地方裁判所が火災に見舞われた際、石割桜も被害を受けたが、地元の植木職人や消防士たちの懸命な努力により、再び美しい花を咲かせるまでに回復した。このエピソードは、桜への深い愛情と敬意を物語っている。(morioka-hachimantai.jp)

石割桜は、盛岡市の春の風物詩として、またその力強い生命力の象徴として、今もなお多くの人々に愛され続けている。