皇大神宮(内宮)

伊勢神宮の主要な神社の一つで、天照大御神を祀る

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伊勢の地に足を踏み入れると、時の流れが穏やかに遡るような感覚に包まれる。五十鈴川の清らかな流れが、参道の玉砂利を洗い、鳥居をくぐるたびに心が澄み渡る。この地は、天照大御神が鎮座する皇大神宮、すなわち内宮が佇む神聖な場所である。

内宮の歴史は約二千年前に遡る。第十一代垂仁天皇の皇女、倭姫命が天照大御神の鎮座地を求めて各地を巡り、ついにこの伊勢の地に辿り着いた。天照大御神は「この神風の伊勢の国は、遠く常世から波が幾重にも寄せては帰る国である。都から離れた傍国ではあるが、美しい国である。この国にいようと思う」と告げられたという。こうして、五十鈴川のほとりに皇大神宮が創建されたのである。 (isejingu.or.jp)

参道を進むと、樹齢数百年の杉や檜が天を突くようにそびえ立ち、緑深い森が広がる。春には梅や桜が咲き誇り、甘い香りが漂う。夏には新緑が目に鮮やかで、木漏れ日が参道を優しく照らす。秋には紅葉が五十鈴川の水面に映り、冬には宇治橋の大鳥居から昇る日の出が神秘的な光景を描き出す。 (isejingu.or.jp)

五十鈴川の御手洗場では、参拝者が手を清め、心を整える。この川は「御裳濯川」とも呼ばれ、倭姫命が衣の裾を濯いだことに由来する。川のせせらぎと鳥のさえずりが響き渡り、自然と一体となる感覚を覚える。

内宮の社殿は、日本古来の建築様式である唯一神明造で建てられており、簡素な直線美と素木の美しさが際立つ。20年に一度の式年遷宮により、社殿や御神宝が新しくされ、神々の永遠の若さと清浄さが保たれている。 (isejingu.or.jp)

内宮の神域には、動物約2,800種、鳥類約140種、植物約850種が生息し、伊勢志摩地方の自然のままの生態系が残っている。参道を歩けば、水面を飛び交う鳥や木々の間を舞う蝶、木の幹や根元に潜む昆虫たちに出会えるかもしれない。耳を澄ませば、カエルや虫、鳥の鳴き声が聞こえ、生命の息吹を感じることができる。 (isejingu.or.jp)

この神聖な地を訪れると、自然と歴史、そして神々の存在が一体となり、心が洗われるような感覚に包まれる。伊勢の皇大神宮は、訪れる者すべてに深い感動と安らぎを与えてくれる場所である。