港川遺跡

旧石器時代の人類遺跡

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沖縄本島南部、南城市の静かな一角に、時の流れを超えて佇む場所がある。そこは、かつての石灰岩採石場であり、今は静寂に包まれた港川遺跡だ。この地は、約2万2千年前の旧石器時代に生きた「港川人」の眠る場所として知られている。

遺跡は、雄樋川の河口近く、標高20~30メートルの石灰岩台地に位置する。石灰岩の割れ目、フィッシャーと呼ばれる地形が特徴的で、ここから港川人の全身骨格が発見された。発見者である大山盛保氏は、1967年、自宅の庭園に池を作るために購入した石灰岩の中にイノシシの化石を見つけたことから、この地に興味を持ち、発掘を始めた。その結果、4体分の全身骨格を含む人骨群が発見され、これらは「港川人」と名付けられた。 (palaeolithic.jp)

港川人の骨格は、男性1体、女性3体からなり、男性の推定身長は約150~155センチと小柄であった。顔の骨格は頑丈で、粗末な食物を咀嚼するための強い顎を持っていたことが伺える。彼らは、狩猟採集の生活を送り、森の中を歩き回っていたと考えられている。 (palaeolithic.jp)

この地の石灰岩は、炭酸カルシウムを多く含むアルカリ性の土壌であり、骨の保存に適している。そのため、港川人の骨格は良好な状態で発見された。また、遺跡からはイノシシやシカなどの動物化石も多く出土しており、当時の豊かな生態系を物語っている。 (palaeolithic.jp)

現在、港川遺跡は公園として整備され、訪れる人々に太古のロマンを伝えている。遺跡の近くには、八重瀬町立具志頭歴史民俗資料館があり、港川人に関する展示が行われている。ここでは、港川人の全身骨格のレプリカや、発掘の経緯、当時の生活様式などが紹介されており、訪れる人々に深い感銘を与えている。 (palaeolithic.jp)

港川遺跡は、ただの遺跡ではなく、私たちの祖先の足跡を辿る貴重な場所である。静寂の中に佇むこの地を訪れ、遥か昔の人々の息吹を感じてみてはいかがだろうか。