淡嶋神社

人形供養と女性の祈願の聖地

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和歌山県和歌山市加太の海辺に佇む淡嶋神社は、静寂と神秘が交差する場所です。境内に足を踏み入れると、無数の人形たちが並ぶ光景が目に飛び込んできます。これらは全国から奉納されたもので、ひな人形、市松人形、招き猫、信楽焼のたぬきなど、多種多様な姿が整然と並び、まるで人形たちの静かな語らいが聞こえてくるかのようです。

この神社の歴史は古く、かつては加太沖に浮かぶ友ヶ島の神島に鎮座していたと伝えられています。神功皇后が三韓征伐からの帰途、嵐に遭遇し、神の導きで友ヶ島に辿り着いた際、少彦名命と大己貴命に感謝の意を込めて宝物を奉納したとされています。その後、仁徳天皇が島での不便を考慮し、社殿を現在の加太の地に移したと伝えられています。 (momijiaoi.net)

淡嶋神社は、医薬の神である少彦名命を祀ることから、婦人病や安産祈願、恋愛成就など、女性の願いを叶える神社として信仰を集めています。特に毎年3月3日に行われる「ひな流し」の神事は有名で、全国から奉納されたひな人形を白木の舟に乗せ、加太の海に流すことで人形供養を行います。この神事は、紀州徳川家の姫君の初節句に人形を奉納する習慣が起源とされ、ひな祭り発祥の地とも言われています。 (rokaru.jp)

境内には、針供養のための針塚もあり、毎年2月8日に全国から集められた針を供養する「針祭」が行われます。これは、裁縫の神である少彦名命に感謝し、使い古した針を供養する伝統的な行事です。 (wakayama-kanko.com)

また、境内奥の末社には、子授け祈願のために下着を奉納する風習があり、これは一度身につけた下着を奉納することで願いが叶うとされています。このような独特の風習も、淡嶋神社の魅力の一つです。 (guruwaka.com)

海風が心地よく吹き抜ける境内で、人形たちの静かな佇まいに囲まれながら、古の人々の願いや祈りに思いを馳せると、時の流れがゆっくりと感じられます。淡嶋神社は、訪れる人々に静寂と癒しを与える、特別な場所です。