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四万十川の清らかな流れに寄り添うように、打井川のほとりに佇む一軒の館がある。その名も「海洋堂かっぱ館」。ここは、伝説の妖怪・河童が息づく不思議な世界への扉を開く場所だ。
館の外観は、まるで物語から飛び出してきたかのような趣き。丸太と土壁で造られた建物は、自然と調和し、訪れる者を温かく迎え入れる。周囲には、チェーンソーで彫られたユニークな河童の彫刻や、有名アーティストが手掛けた絵画が点在し、まるで河童たちが遊び戯れているかのような光景が広がる。
館内に足を踏み入れると、そこはまさに河童の楽園。世界中から集められた約1700体もの河童たちが、所狭しと並んでいる。愛らしい表情のものから、少し怖さを感じさせるものまで、その多様性に驚かされる。これらの作品は、2009年から2014年にかけて開催された「四万十川カッパ造形大賞」に寄せられたもので、常時約500点以上が展示されている。 (museum.or.jp)
河童は、日本各地の伝説や民話に登場する水の妖怪で、子供のような姿に緑色の肌、小さなくちばし、背中には亀の甲羅のようなものを持つとされる。四万十川流域にも多くの河童伝説が残されており、地元の人々にとっては親しみ深い存在だ。この館は、そんな河童たちへの敬意と愛情から生まれた場所である。
館の裏手には、河童を祀る神社がひっそりと佇んでいる。その周囲には、手作りの木製河童像が並び、訪れる人々を見守っている。また、近くを流れる打井川では、夏になると川遊びを楽しむ家族連れの姿も見られ、自然と文化が融合した穏やかな時間が流れている。
この地を訪れたなら、ぜひ「海洋堂ホビー館四万十」にも足を延ばしてほしい。廃校となった小学校を改装したこの館では、海洋堂の歴史とコレクションが展示されており、フィギュアファンにはたまらないスポットとなっている。両館を巡ることで、四万十の自然と文化、そして遊び心に満ちた世界を存分に堪能できるだろう。
四万十の山奥にひっそりと佇む「海洋堂かっぱ館」。そこには、河童たちの多彩な表情と、訪れる人々の笑顔が溢れている。自然と伝説が織りなすこの不思議な空間で、あなたも河童たちと心躍るひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。