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三重県鳥羽市の相差町、あさり浜の海岸沿いに佇む「海女小屋はちまんかまど」。ここは、現役の海女たちが漁の合間に身体を休め、囲炉裏を囲んで語らう場所であり、訪れる人々に伊勢志摩の豊かな海の幸と、海女文化の深い魅力を伝える場でもあります。
小屋の扉を開けると、炭火の香ばしい匂いと、海女たちの明るい笑い声が迎えてくれます。囲炉裏の周りには、新鮮なサザエやヒオウギ貝、大アサリが並び、海女たちが手際よく炭火で焼き上げます。焼きたての貝を口に運べば、磯の香りと旨味が口いっぱいに広がり、まるで海そのものを味わっているかのような感覚に包まれます。
食事の合間には、海女たちが漁の話や、海の神秘、そしてこの地に伝わる伝説を語ってくれます。例えば、海女たちが身につける磯着の額部分に描かれた「セーマン」は、安倍晴明に由来する魔除けの印であり、一筆書きで元の場所に戻れることから、海に潜っても無事に帰って来られるようにとの祈りが込められています。
また、海女小屋の目の前に広がるあさり浜は、穏やかな的矢湾を望む絶好のロケーション。晴れた日には、水平線がきらめき、海と空の青が溶け合う美しい景色が広がります。この地で、海女たちの温かなおもてなしと、伊勢志摩の海の恵みを堪能するひとときは、訪れる人々にとって忘れがたい思い出となるでしょう。
「海女小屋はちまんかまど」は、単なる食事処ではなく、海女文化の息吹を感じ、海と人との深い絆を体感できる特別な場所です。ここで過ごす時間は、日常を離れ、心を豊かにする旅の一頁となることでしょう。