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呉市の宝町に足を踏み入れると、目の前に巨大な鉄の鯨が姿を現す。全長76.2メートル、重さ2,250トンの潜水艦「あきしお」が、陸上に堂々と横たわっている。その圧倒的な存在感は、まるで海から飛び出してきたかのようだ。
この「あきしお」は、1986年に進水し、2004年まで海上自衛隊で活躍した実物の潜水艦である。退役後、2006年に国内最大級のクレーン船で陸揚げされ、現在は「てつのくじら館」として一般公開されている。(tabi-mag.jp)
館内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、海上自衛隊の歴史を物語る数々の展示物だ。1階では、呉市と海上自衛隊の深い関わりや、戦後の復興に尽力した掃海部隊の活動が紹介されている。戦後、日本近海には多くの機雷が残されており、それらを除去するために掃海部隊が命がけで作業を行った歴史が、写真や映像を通じて伝えられる。(kureto.city.kure.lg.jp)
2階に上がると、掃海艇の活躍が詳しく展示されている。実物の機雷や掃海具が並び、掃海作業の様子が再現されている。特に、掃海艇の甲板を1/1スケールで再現した展示は圧巻で、実際に船上にいるかのような臨場感を味わえる。(kureto.city.kure.lg.jp)
そして、3階では潜水艦の世界が広がる。潜水艦の構造や機能、乗組員の生活が詳細に紹介されており、狭い艦内での生活の工夫や、最新技術の粋を集めた装備品が展示されている。特に、潜水艦のベッドに実際に寝転がることができる体験コーナーは、子供から大人まで人気を集めている。(billion-log.com)
館内の見学を終えた後は、実際に「あきしお」の内部に入ることができる。狭い通路を進むと、艦長室や士官室、発令所などが当時のまま保存されており、潜水艦乗組員の生活を垣間見ることができる。特に、操舵室では本物の潜望鏡を覗くことができ、呉港の風景を眺めることができる。(kureto.city.kure.lg.jp)
館内には、オリジナルグッズを販売するショップや、カフェも併設されており、見学の合間に休憩を取ることができる。特に、カフェで提供される「あきしおカレー」は、元艦長が認定したメニューとして人気を博している。(billion-log.com)
「てつのくじら館」は、呉市の歴史と海上自衛隊の活動を深く知ることができる貴重な場所である。実物の潜水艦に触れ、その内部を体感することで、海の安全を守る人々の努力と情熱を感じ取ることができるだろう。