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伊豆半島の深い緑に包まれた河津町、その山間に突如として現れる巨大な螺旋の構造物がある。それが「河津七滝ループ橋」だ。正式名称を「七滝高架橋」といい、全長1,064メートル、高低差45メートル、直径80メートルの二重ループを描くこの橋は、まるで空中に舞う龍のように、山々の間を優雅に舞っている。 (izugeopark.org)
この橋が誕生したのは、1978年の伊豆大島近海地震がきっかけだった。当時、山腹を縫うように走っていた国道414号線は、地震による土砂崩れで寸断されてしまった。その教訓を生かし、限られた土地で大きな高低差を克服するために、この二重ループの設計が採用されたのだ。1981年に完成したこの橋は、その独創的な構造と耐震性が評価され、土木学会田中賞を受賞している。 (izugeopark.org)
車でこの橋を走ると、まるで遊園地のアトラクションに乗っているかのような感覚に陥る。緩やかな下り坂から一気に始まる旋回は、遠心力を感じさせ、身体が自然と傾く。制限速度は40km/hと定められているが、その速度でも十分にスリルを味わえる。特に初めて通る者にとっては、山間の道から突然開けるこのループ橋の景観に驚かされることだろう。 (surugawan.net)
橋の下には町営の無料駐車場があり、そこから見上げるループ橋は圧巻だ。緑の山々を背景に、鮮やかなグリーンの橋脚が空へと伸び、二重の螺旋を描いている。この景観は、橋梁マニアや観光客にとって絶好の撮影スポットとなっている。 (surugawan.net)
周辺には、伊豆の踊子の舞台ともなった河津七滝があり、7つの滝を巡るハイキングコースが整備されている。約1時間の散策路では、滝の迫力とともに、伊豆の豊かな自然を満喫できる。また、2月には早咲きの河津桜が咲き誇り、「河津桜まつり」が開催される。この時期には、全国から多くの観光客が訪れ、町全体が華やかな雰囲気に包まれる。 (surugawan.net)
河津七滝ループ橋は、自然の厳しさと人間の知恵が融合した象徴的な存在だ。その美しい螺旋は、訪れる者に驚きと感動を与え、伊豆の旅の忘れられない一頁となることだろう。