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新宿御苑の千駄ヶ谷門をくぐり、緑豊かな小径を進むと、子どもたちの笑い声が響く広場にたどり着く。ここは「こども広場」として親しまれ、小学生以下の子どもたちが幼児用のゴムボールやなわとびなど、安全な遊具で自由に遊ぶことが許されている特別な場所だ。
広場の周囲には、四季折々の表情を見せる木々が立ち並び、春には桜が淡いピンクの花びらを風に舞わせ、夏には青々とした葉が木陰を作り、子どもたちを優しく包み込む。秋には紅葉が地面を彩り、冬には裸木のシルエットが澄んだ空に映える。
この地は、かつて江戸時代に内藤家の下屋敷があった場所で、当時から美しい庭園として知られていた。明治時代には農業試験場として利用され、その後、皇室庭園「新宿御苑」として整備された歴史を持つ。戦後、国民公園として一般に開放され、現在に至るまで多くの人々に愛され続けている。
広場の芝生に寝転がれば、都会の喧騒を忘れ、鳥のさえずりや風の音に耳を傾けることができる。子どもたちが元気に駆け回る姿は、まるでこの場所が持つ長い歴史と自然の恵みを象徴しているかのようだ。
新宿御苑の「こども広場」は、ただの遊び場ではなく、歴史と自然、そして未来を担う子どもたちの笑顔が交差する、特別な場所である。