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秋田県大館市の静かな街角に、時を超えて佇む一つの銅像がある。それは「望郷のハチ公像」として知られ、忠犬ハチ公の晩年の姿を模したものだ。この像は、かつて大館駅前に建てられていた初代ハチ公像の台座を再利用し、約60年ぶりに新たな銅像として蘇った。その除幕式は2004年10月に行われ、多くの市民が集まり、ハチ公への敬愛と郷愁を新たにした。 (shikoku-np.co.jp)
ハチ公は1923年、大館市大子内で生まれた秋田犬である。東京帝国大学の上野英三郎博士に引き取られ、博士の死後も渋谷駅で主人の帰りを待ち続けたその姿は、多くの人々の心を打った。その忠誠心は映画や書籍で語り継がれ、今もなお世界中で愛されている。
この「望郷のハチ公像」は、晩年のハチ公をモデルにしており、左耳が垂れているのが特徴的だ。これは、ハチ公が他の犬に噛まれた際に左耳が垂れてしまったという逸話に基づいている。像の表情は穏やかで、遠くを見つめるその瞳には、故郷への思いが込められているかのようだ。 (city.odate.lg.jp)
秋田犬会館の前に立つこの像は、訪れる人々にハチ公の物語と、秋田犬の魅力を伝えている。会館内では、秋田犬の歴史や文化に関する展示が行われており、実際に秋田犬と触れ合うこともできる。春から秋にかけては、犬舎で本物の秋田犬を見ることができ、その愛らしい姿に多くの人々が魅了されている。 (tabi-mag.jp)
大館市は、毎年2月に「大館アメッコ市」という伝統的な祭りを開催している。この祭りは、天正16年(1588年)頃から続くとされ、「この日にアメを食べると風邪をひかない」という言い伝えがある。祭りの期間中、白ひげ大神が山から下りてきてアメを買い求めるという伝説があり、その足跡を隠すために吹雪を起こすとも言われている。実際に、祭りの期間中は雪が降ることが多く、幻想的な雰囲気を醸し出している。 (city.odate.lg.jp)
「望郷のハチ公像」は、そんな大館市の歴史と文化を象徴する存在であり、訪れる人々に深い感動を与えている。その穏やかな佇まいは、故郷を思うハチ公の心情を映し出し、見る者の心に温かい余韻を残す。