曳山展示場

唐津市の文化スポット

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佐賀県唐津市の中心部、唐津駅からほど近い新興町に足を踏み入れると、そこには時を超えた伝統と職人の技が息づく場所が広がっています。この地に佇む「曳山展示場」は、毎年11月2日から4日にかけて開催される唐津最大の祭り「唐津くんち」で町を練り歩く14台の曳山を一堂に集め、訪れる者を魅了しています。

展示場の扉を開けると、目の前に広がるのは色鮮やかで豪華絢爛な曳山の数々。最も古い「赤獅子」は、文政2年(1819年)に奉納されて以来、200年以上の時を経てもなお、その威厳と美しさを保っています。これらの曳山は、粘土の原型や木型の上に和紙を数百回貼り重ね、麻布を張った後、赤や金銀の漆を塗り重ねるという、熟練の職人技によって作り上げられました。その重さは2トンから3トンにも及び、細部に至るまで精巧に作り込まれた姿は、まさに芸術品と呼ぶにふさわしいものです。

展示場内では、これらの曳山を間近で見ることができ、その迫力と美しさに圧倒されます。また、曳山の歴史や製作過程、唐津くんちの映像なども紹介されており、祭りの熱気や伝統文化の深さを感じ取ることができます。特に、曳山が町を巡行する様子を映像で見ると、祭り当日の賑わいや興奮が伝わってきます。

この展示場は、2021年10月1日より、ふるさと会館アルピノ旧多目的ホールに一時移転して開館しています。新しい展示場は2025年度中に完成予定であり、それまでの間も、仮設の展示場で14台の曳山を一望することができます。展示スペースは、曳山の状態を維持するために空調や湿度管理、遮光カーテンの設置など、細部にわたる配慮がなされています。

唐津くんちは、ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、その主役である曳山は、佐賀県の重要有形民俗文化財に指定されています。これらの曳山は、町の人々の誇りであり、世代を超えて受け継がれてきた伝統の象徴です。展示場を訪れることで、唐津の歴史や文化、そして人々の情熱を肌で感じることができるでしょう。

展示場の周辺には、唐津の城下町の風情が残る街並みや、地元の特産品を扱うお店も点在しています。展示場を訪れた後は、町を散策しながら、唐津の魅力を存分に味わってみてはいかがでしょうか。

曳山展示場は、唐津駅から徒歩約5分というアクセスの良さも魅力の一つです。営業時間は午前9時から午後5時まで(最終入館は午後4時40分)で、入館料は一般310円、小中学生150円、未就学児は無料となっています。20名以上の団体には割引も適用されます。年末年始(12月29日から12月31日まで)は休館となりますので、訪問の際はご注意ください。

唐津の伝統と文化が凝縮された曳山展示場。その豪華絢爛な曳山の姿と、祭りの熱気を感じることができるこの場所は、訪れる人々に深い感動と新たな発見をもたらしてくれることでしょう。