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佐渡島の相川地区、京町通りを山手に進むと、蔦が絡まる高さ3メートルほどのコンクリート塀が目に入る。その奥に佇むのは、1954年に新潟刑務所相川拘置支所として開設され、1972年まで使用された旧相川拘置支所である。現存する木造の拘置所としては全国的にも珍しく、国の登録有形文化財に指定されている。 (niigata-kankou.or.jp)
門をくぐると、事務所棟、炊事・倉庫棟、居房棟の三棟が静かに時を刻んでいる。事務所棟には接見室や調室が配置され、かつての面会の場面が思い起こされる。炊事・倉庫棟はL字型の平面を持ち、質素な造りが当時の生活感を伝えている。居房棟には独居房や雑居房が並び、最大18名の収容が可能であった。 (city.sado.niigata.jp)
独居房は約3畳の広さで、ほうきや布団が置かれ、当時の生活の痕跡が色濃く残る。面会室では亀甲網を隔てて1日2回まで30分以内で面会が許されていたという。これらの空間は、昭和の時代における拘置所の雰囲気を今に伝えている。 (city.sado.niigata.jp)
現在、内部は無料で一般公開されており、自由に見学することができる。訪れる者は、鉄格子の奥にとどめられた昔日の姿に触れ、時代の流れと人々の営みを感じ取ることができるだろう。 (niigata-kankou.or.jp)