旧手宮線

北海道初の鉄道遺跡

About

小樽の街を静かに横切る旧手宮線の跡地は、時の流れに取り残されたかのように、今もなおその存在感を放っています。1880年、北海道で最初に開通したこの鉄道は、石炭や海産物を運び、小樽の発展に大きく寄与しました。しかし、1985年にその役目を終え、廃線となりました。

現在、この旧手宮線の跡地は、約1.6キロメートルにわたる散策路として整備され、市民や観光客の憩いの場となっています。線路はそのまま残され、踏切や遮断機も当時の姿を留めています。春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が彩りを添え、四季折々の風情を楽しむことができます。

この散策路を歩くと、かつての色内駅跡に辿り着きます。1912年に開設されたこの駅は、旅客専用駅として賑わいを見せましたが、1962年に廃止されました。今もホームの跡が残り、当時の面影を偲ばせます。

また、旧手宮線跡地では、毎年2月に「小樽雪あかりの路」というイベントが開催されます。雪と氷で作られたキャンドルが線路沿いに並び、幻想的な光景を作り出します。このイベントは、訪れる人々に温かさと感動を与え、小樽の冬の風物詩となっています。

さらに、旧手宮線の終着点である手宮駅跡地には、小樽市総合博物館が建てられています。ここでは、北海道の鉄道の歴史や小樽の発展の歩みを学ぶことができます。屋外には蒸気機関車や転車台が展示され、当時の雰囲気を肌で感じることができます。

旧手宮線跡地を歩くことは、小樽の歴史と文化を感じる旅でもあります。静寂の中に響く足音と、遠い昔の汽笛の音が重なり合い、心に深い余韻を残します。この場所は、過去と現在が交差する、小樽の魅力を象徴するスポットと言えるでしょう。