旧志免鉱業所竪坑櫓

福岡県糟屋郡志免町の歴史的遺構

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福岡県糟屋郡志免町の静かな町並みに、高さ47.6メートルの巨大な鉄筋コンクリート製の塔がそびえ立っています。これは旧志免鉱業所の竪坑櫓であり、かつてこの地で石炭を採掘していた歴史の証人です。1943年(昭和18年)に竣工したこの建造物は、地下430メートルの深さから石炭や鉱夫を昇降させる役割を果たしていました。その独特な形状は「ハンマーコプフ型」と呼ばれ、機能美と無駄のないデザインが特徴です。この形式の竪坑櫓は、世界でも志免町、ベルギーのブレニー、中国の撫順の3か所にしか現存していないとされています。戦後、1964年に閉山した後も、この竪坑櫓は取り壊されることなく残され、2009年には国の重要文化財に指定されました。現在では、志免町のランドマークとして、また歴史と文化のシンボルタワーとして親しまれています。夜にはライトアップされ、白や青、オレンジなどの光で照らされるその姿は、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を醸し出しています。この竪坑櫓は、福岡空港から車で約10分というアクセスの良さもあり、多くの人々が訪れるスポットとなっています。周囲には公園や福祉施設が整備され、家族連れや歴史愛好家が足を運びます。この地を訪れることで、日本の近代化を支えた炭鉱の歴史と、その遺産の重みを肌で感じることができるでしょう。