広島平和記念公園

原子爆弾の犠牲者を追悼し、世界平和を祈念する公園

About

広島市の中心部、元安川と本川に挟まれた中島地区に足を踏み入れると、そこには静寂と祈りの空間が広がっています。かつてこの地は、商店や住宅が立ち並ぶ賑やかな街並みでしたが、1945年8月6日、原子爆弾の投下により一瞬にして廃墟と化しました。その後、この地は平和への願いを込めて「広島平和記念公園」として再生されました。

公園の中心には、丹下健三氏の設計による広島平和記念資料館がそびえ立ちます。そのモダニズム建築は、空へと伸びるピロティが特徴的で、訪れる者に深い印象を与えます。館内には、被爆者の遺品や写真が展示され、原爆の惨禍と平和の尊さを静かに語りかけています。

資料館から南へ進むと、原爆死没者慰霊碑が目に入ります。はにわの家型を模した屋根の下には、原爆で亡くなった方々の名前が記された名簿が納められています。碑文には「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれ、訪れる人々の心に深く響きます。

さらに公園内を歩くと、「原爆の子の像」が現れます。これは、被爆後に白血病を発症し、12歳で亡くなった佐々木禎子さんを偲んで建てられたものです。禎子さんは、病気の回復を願い千羽鶴を折り続けましたが、その願いは叶いませんでした。今もなお、世界中から折り鶴がこの像のもとに寄せられ、平和への祈りが絶えません。

公園の北端には、世界遺産に登録された原爆ドームが佇んでいます。爆心地からわずか160メートルの距離にありながら、奇跡的に倒壊を免れたこの建物は、原爆の恐ろしさと平和の大切さを後世に伝える象徴となっています。

公園内には他にも、多くの慰霊碑や記念碑が点在し、それぞれが平和への願いを込めて建てられています。例えば、「平和の鐘」は、ドーム型の鐘楼で、鐘の表面には国境のない世界地図が浮き彫りにされ、毎日午前8時15分に平和への祈りを込めた鐘の音が響き渡ります。

広島平和記念公園は、過去の悲劇を忘れず、未来への平和を誓う場所として、多くの人々が訪れます。ここを歩くことで、戦争の悲惨さと平和の尊さを肌で感じ、心に深く刻むことができるでしょう。