About
京都の嵯峨野に佇むトロッコ嵯峨駅は、時の流れを超えた旅の始まりを告げる場所です。赤レンガ風の駅舎は、まるで19世紀の産業革命時代からそのまま時を刻んできたかのような風格を漂わせています。駅舎内に足を踏み入れると、蒸気機関車の模型や鉄道ジオラマが展示され、鉄道の歴史とロマンが息づいています。
この駅は、かつての山陰本線の旧線を活用した嵯峨野観光鉄道の始発駅であり、保津川沿いの渓谷美を堪能できるトロッコ列車の出発点です。列車は、春には桜、夏には深緑、秋には紅葉、冬には雪景色と、四季折々の風景を車窓から楽しませてくれます。特に秋の紅葉シーズンには、沿線がライトアップされ、幻想的な景色が広がります。
駅舎内には、保津川下りの乗船券売場も併設されており、トロッコ列車と保津川下りを組み合わせた旅が人気を博しています。保津川下りは、約400年の歴史を持つ伝統的な川下りで、角倉了以によって開削された水路を利用しています。この川下りでは、急流や渓谷美を間近に感じながら、船頭の巧みな操船技術を体験できます。
また、駅舎に隣接する「ジオラマ京都JAPAN」は、日本最大級の鉄道ジオラマを誇り、精巧に再現された京都の街並みを鉄道模型が走る様子は、鉄道ファンのみならず多くの人々を魅了しています。さらに、「19世紀ホール」では、蒸気機関車の展示や大正浪漫を感じさせるカフェがあり、訪れる人々に懐かしさと新鮮さを同時に提供しています。
トロッコ嵯峨駅は、単なる交通の拠点ではなく、歴史と自然、文化が交差する場所です。ここから始まる旅は、過去と現在、そして未来をつなぐ架け橋となり、訪れる人々に忘れがたい思い出を刻み込んでいきます。