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長崎市の西端、神ノ島町の岬に立つ純白の聖母像は、青い海と空を背景に、静かにその姿を現しています。この地はかつて小さな島でしたが、戦後の埋め立てにより本土と繋がり、今では陸続きとなっています。しかし、その歴史と風景は、今もなお独特の魅力を放っています。
聖母像は、1949年、聖フランシスコ・ザビエルの日本渡来400周年を記念して建立されました。高さ約4.6メートルのこの像は、長崎港の入口に位置し、航海の安全と世界平和を祈念して海を見守っています。風雨による劣化を経て、1984年に再建され、現在の姿となりました。 (nagasaki-tabinet.com)
岬へと続く道の入口には、白い鳥居が立っています。これは、かつてこの地に恵比寿神社が祀られていた名残であり、神道とキリスト教が共存する長崎ならではの風景です。鳥居をくぐり、石段を上ると、聖母像が静かに佇んでいます。その足元からは、長崎港や女神大橋、高鉾島などの美しい景色が広がり、訪れる者の心を打ちます。 (ameblo.jp)
高鉾島は、かつて「キリシタンの島」とも呼ばれ、1617年には宣教師を匿った宿主二人が殉教した悲しい歴史を持つ地です。この島を望む聖母像は、長崎の複雑な歴史と信仰の象徴とも言えるでしょう。 (www7b.biglobe.ne.jp)
また、聖母像の下方には「ドンク岩」と呼ばれる岩があり、これは長崎の方言で「カエル」を意味します。干潮時にはその姿がカエルに見えることから名付けられました。このような自然の造形も、訪れる人々の目を楽しませてくれます。 (ameblo.jp)
聖母像の背後には、白亜の神ノ島教会が建っています。この教会は、禁教時代に潜伏キリシタンが多く住んでいた神ノ島の歴史を今に伝える存在です。教会の鐘塔と聖母像が並ぶ風景は、長崎の宗教的多様性と寛容さを象徴しています。 (www7b.biglobe.ne.jp)
この地を訪れると、長崎の豊かな歴史と文化、そして自然の美しさを全身で感じることができます。聖母像の穏やかな表情と、周囲の風景が織りなす調和は、訪れる者の心に深い感動を与えるでしょう。