山口デンデラ野

遠野物語の姥捨て伝説地

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岩手県遠野市土淵町山口、緯度39.3613799、経度141.6075438の地点に佇む「デンデラ野」。ここは、かつて「蓮台野」と呼ばれ、時の流れとともにその名が訛り、「デンデラ野」として知られるようになった。この地は、遠野物語第111話にも登場し、60歳を超えた老人たちが集い、余生を送った場所として伝えられている。 (tonojikan.jp)

小高い丘の上に広がるこの野原は、四季折々の風景が美しい。春には若草が芽吹き、夏には緑が生い茂り、秋には黄金色の稲穂が風に揺れる。冬には一面の雪景色が広がり、静寂が辺りを包み込む。遠くには六角牛山がそびえ、山口集落の家々が点在する風景が望める。この地に立つと、時の流れが止まったかのような感覚に陥る。

デンデラ野には、当時の住居を再現した「あがりの家」が建てられている。茅葺きの素朴な造りで、内部には簡素なかまどが設けられている。ここで暮らした老人たちは、日中は里へ下りて農作業を手伝い、夕方になるとこの家へ戻ってきたという。里へ下ることを「ハカダチ」、戻ることを「ハカアガリ」と呼び、今でもこの地域ではその言葉が使われている。 (tonojikan.jp)

デンデラ野の近くには「ダンノハナ」と呼ばれる小高い丘があり、ここは共同墓地として利用されている。『遠野物語』の語り手である佐々木喜善の墓もこの地にある。ダンノハナは、かつて処刑場であったとも伝えられ、生と死が隣り合わせの場所として、訪れる者に深い感慨を与える。 (city.tono.iwate.jp)

デンデラ野を訪れると、過去と現在が交錯する不思議な感覚に包まれる。ここには、かつての人々の暮らしや思いが静かに息づいている。風が草を揺らし、鳥のさえずりが響く中、遠野の豊かな自然と深い歴史を肌で感じることができる。この地を訪れた者は、遠野物語の世界に引き込まれ、心の奥深くに刻まれる体験をすることだろう。