妖怪美術館

日本の妖怪文化を探求するユニークな美術館

About

瀬戸内海に浮かぶ小豆島、その土庄町の一角に、時の流れを超えた不思議な空間が広がっています。ここは「迷路のまち」と呼ばれ、かつて海賊の侵入を防ぐために複雑に入り組んだ路地が張り巡らされた場所です。その迷宮のような街並みの中に、妖怪たちが息づく美術館がひっそりと佇んでいます。

明治時代の呉服屋の蔵、醤油屋の倉庫、活版印刷工場など、歴史を刻んだ建物が再生され、妖怪美術館として新たな命を吹き込まれました。館内には、伝統的な妖怪から現代の創作妖怪まで、800体以上の作品が展示されています。暗がりの中、懐中電灯を手に進むと、壁や天井、床の隅々から妖怪たちが顔を覗かせ、訪れる者を異世界へと誘います。

特に目を引くのは、元醤油屋の倉庫を利用した展示室に鎮座する巨大な妖怪です。その体内に足を踏み入れると、青く輝く床と無数の木彫りの恵比寿様が壁を埋め尽くし、まるで妖怪の胎内に吸い込まれたかのような感覚に陥ります。この妖怪は、寒い夜に現れ、うっかりコタツで寝てしまった人々を飲み込むと言われています。

また、現代の社会問題や流行を反映した妖怪たちも展示されています。SNSで「いいね」を集めることに執着する妖怪や、中二病を象徴する妖怪など、ユーモアと風刺が効いた作品が並び、訪れる者に新たな視点を提供します。

美術館を巡った後は、併設された「妖怪BAR」で一息つくのも一興です。ここでは、妖怪たちが常連という設定のもと、ユニークなカクテルや地元の特産品を使ったドリンクが楽しめます。例えば、「お札カクテル」や「天狗の秘薬」といったメニューがあり、妖怪の世界観を存分に味わうことができます。

この妖怪美術館は、ただの展示空間ではなく、訪れる者の想像力を刺激し、見えないものを見る力を養う場所です。迷路のまちを歩きながら、古き良き日本の文化と現代アートが融合したこの空間で、妖怪たちとの出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか。