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目黒川のほとり、静寂に包まれた一角に、天恩山五百羅漢寺は佇んでいます。この寺院は、江戸時代の元禄八年(1695年)に松雲元慶禅師によって創建されました。彼は江戸の町を托鉢し、十数年の歳月をかけて五百体以上の羅漢像を彫り上げました。現在、305体が現存し、東京都の重要文化財に指定されています。 (rakan.or.jp)
境内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、現代的なデザインの本堂です。昭和五十六年(1981年)に再建されたこの建物は、伝統と現代が融合した独特の雰囲気を醸し出しています。本堂の内部には、釈迦如来像とその弟子である羅漢像が一堂に会し、お釈迦様が説法している光景が再現されています。そのすずやかな声に、しばし耳を傾けることができます。 (rakan.or.jp)
本堂に納めきれない146体の羅漢像は、羅漢堂に安置されています。これらの像は、松雲元慶禅師が江戸の町を托鉢して集めた浄財をもとに、十数年の歳月をかけて彫りあげたものです。一体一体が異なる表情を持ち、まるで生きているかのような迫力があります。 (rakan.or.jp)
境内には、再起地蔵尊も祀られています。身丈3.5メートルのお地蔵様は、失意の人々の再起の願いを叶えてくれるとされています。そのおだやかな顔は、お参りする人々に気力と勇気を与えてくれます。 (rakan.or.jp)
また、碑のこみちには、羅漢寺の尼僧「お鯉観音」が祀られています。他にも「さくら隊原爆殉難碑」「興安友愛の碑」を始め、俳人「高浜虚子の句碑」「平山蘆江の歌碑」「包魂の碑」などがあります。 (rakan.or.jp)
五百羅漢寺は、元禄八年(1695年)に本所五ツ目(現在の江東区大島)に創建されましたが、明治維新とともに寺は没落し、明治四十一年(1908年)、目黒のこの地に移ってきました。長年の風雪に耐え、昭和五十六年(1981年)に近代的なお堂が完成し、名実ともに「目黒のらかんさん」としてよみがえりました。 (rakan.or.jp)
この寺院は、江戸時代から続く歴史と文化を今に伝える貴重な場所です。訪れる人々は、羅漢像の表情や姿勢から、当時の人々の信仰心や芸術性を感じ取ることができます。また、境内の静寂な雰囲気は、都会の喧騒を忘れさせ、心を落ち着かせてくれます。
目黒川沿いの散策の途中で、ぜひこの五百羅漢寺に立ち寄ってみてください。歴史と現代が融合したこの場所で、心静かに羅漢像と向き合う時間は、きっと特別なものとなるでしょう。