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松本市の中心部、女鳥羽川の清らかな流れに寄り添うように佇む四柱神社は、訪れる者を静寂と神聖な空気で包み込む。大鳥居をくぐり、御幸橋を渡ると、そこには四柱の大神が鎮座する拝殿が迎えてくれる。天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神、そして天照大神。これらの神々は、天地創造の根源とされ、すべての願いを結び叶える「願いごとむすびの神」として崇められている。
境内には、一本の根元から二本の幹が伸びる「縁結びの松」が立ち、訪れる人々の心を惹きつける。この松は、縁結びの象徴として、多くの参拝者がその前で祈りを捧げる場所となっている。
四柱神社の歴史は、明治時代に遡る。明治7年、筑摩県庁所在地であった松本に神道中教院が設立され、そこに四柱の大神が奉斎された。その後、明治12年に現在の地に四柱神社として鎮座し、以来、地域の信仰の中心として親しまれてきた。明治13年には明治天皇の行幸を迎え、その際に渡られた石橋は「御幸橋」と名付けられ、今もその名を伝えている。
境内には、伊勢神宮の外宮である豊受大神宮の外幣殿を拝領し移築された松本市招魂殿があり、伊勢神宮との深い繋がりを感じさせる。また、伊勢神宮遥拝所も設けられ、遠く離れた伊勢の神々に思いを馳せることができる。
四柱神社の周辺には、江戸時代の風情を残す縄手通りが広がり、カエルをシンボルとした商店街が賑わいを見せている。この通りは、かつて松本城の総堀が埋め立てられた跡地に形成され、四柱神社の参道として発展してきた。女鳥羽川の清流とともに、歴史と文化が息づくこの地は、訪れる人々に深い感動を与えてくれる。
四季折々の風景が美しい四柱神社。春には枝垂れ桜が咲き誇り、夏には茅の輪くぐりの神事が行われる。秋には紅葉が境内を彩り、冬には静寂の中で新たな年を迎える準備が進められる。訪れるたびに異なる表情を見せるこの神社は、何度でも足を運びたくなる魅力に満ちている。
四柱神社は、ただの観光地ではなく、心の拠り所として、多くの人々の願いと祈りが込められた場所である。その神聖な空気に触れ、歴史と文化を感じながら、自らの願いを託してみてはいかがだろうか。