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大阪の喧騒の中心、梅田の街角にひっそりと佇む北向地蔵尊。煌びやかなビル群と賑やかな人々の流れの中で、このお地蔵さまは静かに北を向き、訪れる者を迎え入れています。
その歴史は明治24年(1891年)に遡ります。この地の畑から自然石に刻まれたお地蔵さまが掘り出され、当時の地主であった仲谷弥三兵衛氏が北向きのお堂を建立し、祭祀を始めました。一般的にお地蔵さまは南を向いて祀られることが多い中、北向地蔵尊はあえて北を向いています。これは、人々に寄り添い、願いや悩みを聞き入れ、参拝者を救いたいという思いから、下座となる北向きに配されたと伝えられています。 (umeda-higashi.com)
昭和41年(1966年)から始まった阪急梅田駅の移設拡張工事に伴い、昭和44年(1969年)に阪急三番街が誕生しました。これにより、お堂は西へ50メートル移動し、現在の地に鎮座することとなりました。 (umeda-higashi.com)
北向地蔵尊は、全国でも珍しい北向きのお地蔵さまとして知られています。全国的に見ても北向きのお地蔵さまは少なく、400体ほどしかありません。そのため、願い事を一つだけ叶えてくれる「一願成就」のご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。 (shibata-shotenkai.com)
毎年8月23日と24日には、阪急三番街北向地蔵尊奉賛会が中心となり、供養祭が行われます。23日には和歌山県熊野本宮大社の熊野修験道ご一行による護摩焚きが行われ、24日には真言宗太融寺の住職による盂蘭盆供養祭が営まれます。これらの祭事には多くの人々が参拝し、お地蔵さまへの感謝と祈りを捧げます。 (cdn.hankyu-app.com)
北向地蔵尊は、梅田の賑わいの中で静かに佇み、訪れる人々の心の拠り所となっています。その優しいお顔と、北を向いて人々を見守る姿勢は、忙しい日常の中でふと立ち止まり、心を落ち着ける場所として、多くの人々に愛され続けています。