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京都の東山、八坂の塔の近くに佇む八坂庚申堂は、色とりどりの「くくり猿」が境内を彩り、訪れる者の目を奪います。(furafurakyoto.com)この寺院は、平安時代の天徳4年(960年)に天台宗の僧・浄蔵貴所によって創建されたと伝えられ、日本最古の庚申堂として知られています。(yoritomo-japan.com)
庚申信仰は、中国の道教に由来し、人間の体内に棲む三尸(さんし)の虫が庚申の日の夜、眠っている間に体から抜け出し、天帝にその人の罪を告げるとされています。これを防ぐため、人々は庚申の夜に徹夜で過ごす「庚申待ち」を行いました。(furafurakyoto.com)
八坂庚申堂の本尊である青面金剛は、三尸の虫を退治してくれると信じられています。境内には、手足を縛られた猿の形をした「くくり猿」が無数に吊るされており、これは人間の欲望を抑える象徴とされています。願い事を叶えるためには、一つの欲を我慢することが必要であり、その決意を示すために「くくり猿」を奉納するのです。(furafurakyoto.com)
また、境内には「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿の像も点在しており、悪事を見ない、聞かない、話さないという教えを伝えています。(yoritomo-japan.com)
庚申の日には、病気平癒を願う「こんにゃく封じ」の祈祷が行われます。これは、病名を書いた紙人形をこんにゃくに貼り、天井に吊るすことで、こんにゃくから水気が抜けるように病が抜けるとされる儀式です。(kyoto-design.jp)
八坂庚申堂は、古くからの信仰と現代の感性が融合した場所であり、訪れる人々に深い印象を与えます。色鮮やかな「くくり猿」に囲まれた境内で、心静かに自らの欲望と向き合い、願いを託してみてはいかがでしょうか。