About
三重県伊賀市の静寂な森の中、茅葺き屋根の古民家がひっそりと佇んでいる。一見すると、どこにでもある農家のように見えるが、その内部には数々の秘密が隠されている。ここは、伊賀流忍者博物館の中心、からくり忍者屋敷である。
屋敷の扉を開けると、木の香りが漂い、畳の感触が足元に心地よい。しかし、ここはただの家ではない。壁の裏には隠し階段があり、床下には逃げ道が設けられている。敵の侵入を防ぎ、秘伝の書を守るための巧妙な仕掛けが随所に施されているのだ。忍者の案内人がこれらのからくりを実演し、その素早い動きと巧みな技に、訪れる者は息をのむ。
屋敷を抜けると、忍術体験館が待っている。ここには、忍者が実際に使用した手裏剣や水蜘蛛などの忍具が展示されている。忍術書に基づいて再現されたこれらの道具は、忍者の知恵と工夫の結晶である。特に水蜘蛛は、池や川を渡る際に使用された道具で、その独特な形状に目を奪われる。
さらに進むと、忍者伝承館が現れる。ここでは、忍者の歴史や生活が紹介されており、彼らがどのように情報を収集し、どのような信仰を持っていたのかが詳しく解説されている。伊賀・甲賀の忍者が信仰した神仏を描いた「忍者曼荼羅」は、彼らの精神世界を垣間見ることができる貴重な資料である。
博物館の敷地内には、忍者グッズ専門店「Ninja坊」もあり、ここでしか手に入らないオリジナルの忍者グッズが並んでいる。手裏剣や忍者装束など、訪れた記念にぴったりの品々が揃っている。
そして、忍術実演ショーでは、伊賀忍者特殊軍団「阿修羅」による迫力満点のパフォーマンスが繰り広げられる。手裏剣打ちや日本刀、鎖鎌を使った立ち回りなど、スピードとパワーに満ちた演技は、観客を魅了してやまない。
伊賀流忍者博物館は、ただの展示施設ではなく、忍者の世界を五感で体験できる場所である。ここを訪れれば、忍者の知恵と技術、そして彼らの生き様に触れることができるだろう。