京都二寧坂ヤサカ茶屋店

京都市東山区の伝統的な日本家屋のスターバックス

About

京都の東山、二寧坂の石畳を歩くと、伝統的な町家の佇まいの中に、ひときわ趣のある建物が目に入る。築100年を超えるこの日本家屋は、かつて貸座敷として賑わいを見せた歴史を持つ。その玄関には、藍色の暖簾が静かに揺れ、訪れる者を迎え入れる。

暖簾をくぐると、細長い通り庭が奥へと続く。足元には、石畳が敷かれ、両脇には坪庭が配されている。前庭には、スターバックスのロゴである人魚の鱗を模した瓦が敷かれ、伝統と現代の融合を感じさせる。中庭には、蹲踞(つくばい)が設けられ、茶道の精神が息づいている。奥庭には、枯山水の庭園が広がり、東山の風景を表現している。

通り庭を進むと、バーカウンターが現れる。ここでは、バリスタが一杯一杯、心を込めてコーヒーを淹れている。注文を終え、階段を上がると、二階には畳敷きの座敷が三部屋用意されている。靴を脱ぎ、丹後ちりめんの座布団に腰を下ろすと、床の間には西陣織の掛け軸が掛けられ、清水寺の音羽の滝をイメージした作品が飾られている。窓からは、二寧坂の街並みが一望でき、行き交う人々の姿が風情を添える。

この場所は、2017年6月にオープンし、世界で初めて暖簾をくぐり、畳の上でコーヒーを楽しめるスターバックスとして話題となった。地域の景観を守るため、外観には木製の看板や銅板の表札が用いられ、店内が混雑した際には入場制限を行うなど、周囲への配慮がなされている。

二寧坂は、清水寺へと続く京都を代表する散策路であり、歴史的な建造物が建ち並ぶ風情ある街並みが広がっている。この地に根付く伝統と文化を大切にしながら、新たな形でコーヒー文化を提供するこの場所は、訪れる人々に特別なひとときをもたらしている。