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上野恩賜公園の奥深く、緑豊かな木々に囲まれた静寂の中に、五條天神社が佇んでいます。この地は、約1900年前の景行天皇の時代、日本武尊が東征の途上で薬祖神である大己貴命と少彦名命の加護を受けたことに感謝し、両神を祀ったことが創祀と伝えられています。
参道を進むと、蓮の花を模した水盤を持つ手水舎が目に入ります。その屋根の上には鳳凰が鎮座し、訪れる者を静かに見守っています。この手水舎で心身を清め、さらに進むと、社殿が現れます。ここでは、医薬の神々に健康と無病息災を祈願する人々の姿が絶えません。
境内には、江戸時代から続く「医薬祭」が毎月10日に執り行われ、無病息災や病気平癒を願う多くの参拝者が訪れます。また、6月と12月の末日には「大祓式」が行われ、茅の輪をくぐることで半年間の罪や穢れを祓い、清らかな心で新たな日々を迎える風習があります。
五條天神社の隣には、赤い鳥居が連なる花園稲荷神社があり、縁結びや商売繁盛の神として信仰を集めています。この二つの神社は、上野の地に深く根付いた歴史と文化を今に伝え、訪れる人々に安らぎと希望を与え続けています。