五劫思惟阿弥陀仏

金戒光明寺の有名な仏像

金戒光明寺の五劫思惟阿弥陀仏は、庭園に座り慈悲深い表情が詳細に彫られた像です。   mi8a-n

About

京都の静寂な一角、金戒光明寺の境内を歩むと、三重塔へと続く石段の脇に、ひっそりと佇む石仏が目に入る。その姿は、まるでアフロヘアのように膨らんだ螺髪を持つ、五劫思惟阿弥陀仏である。

この仏像は、阿弥陀仏が法蔵菩薩であった時代、衆生を救済するために五劫という気の遠くなるような長い時間、深く思惟し修行を重ねた結果、髪が伸びてこのような姿になったと伝えられている。一劫とは、四十里四方(約160km)の岩を、天女が三年に一度羽衣で撫で、その岩がすり減って無くなるまでの時間を指す。その五倍の時間、思惟を続けたというのだから、その修行の深さが伺える。 (kurodani.jp)

この五劫思惟阿弥陀仏は、全国でも16体ほどしか存在しない珍しいお姿であり、特に石で彫刻されたものは稀少である。江戸時代中頃の制作とされ、その穏やかな表情は、長い修行の末に得た悟りの境地を物語っている。 (kurodani.jp)

金戒光明寺は、法然上人が浄土宗の布教を始めた地として知られ、地元では「くろ谷さん」と親しまれている。幕末には京都守護職の本陣が置かれ、新選組発祥の地としても歴史に名を刻んでいる。 (furafurakyoto.com)

境内を歩けば、歴史の重みと静寂が心を包み込む。五劫思惟阿弥陀仏の前に立つと、その長い修行の物語が、時を超えて私たちに語りかけてくるようだ。この地を訪れることで、仏教の深遠な教えと、京都の歴史の一端に触れることができるだろう。