不忍池の南側

上野恩賜公園内にある池

2023.03.26 水上音楽堂脇のベニユタカの様子です。   上野桜守の会

About

不忍池の南側に足を踏み入れると、都会の喧騒が遠のき、静寂と自然の調和が心を包み込む。ここは、江戸時代から人々に愛されてきた憩いの場であり、四季折々の風情が訪れる者を魅了してやまない。

春、桜の花が池のほとりを彩り、淡いピンクの花びらが風に舞う様は、まるで夢の中の情景のようだ。江戸の昔から、この地は花見の名所として知られ、多くの人々が集い、酒を酌み交わしながら春の訪れを祝ったという。

夏になると、池一面に蓮の葉が広がり、朝日を浴びて咲く桃色や白の花々が水面を彩る。蓮の花は早朝に開き、昼には閉じてしまうため、早起きした者だけがその美しさを堪能できる。江戸時代には、色とりどりの蓮が植えられていたと伝えられ、当時の人々もこの景色を愛でていたことだろう。

秋の訪れとともに、池の周囲の木々が紅葉し、水面に映る赤や黄の葉が幻想的な風景を作り出す。この時期、月見の宴が催され、詩歌を詠み交わす文化人たちが集ったという。森鷗外や夏目漱石といった文豪たちも、この地を愛し、作品の中に不忍池の情景を描写している。

冬の朝、池の水面には薄氷が張り、静寂の中に凛とした空気が漂う。渡り鳥たちが羽を休める姿は、生命の息吹を感じさせ、寒さの中にも温かみをもたらしてくれる。

池の中央に浮かぶ弁天島には、弁財天を祀る弁天堂が鎮座している。寛永寺の創建者である天海僧正が、琵琶湖の竹生島を模して築いたこの島は、江戸の人々にとって信仰と憩いの場であった。現在も、多くの参拝者が訪れ、心の平穏を求めて手を合わせている。

不忍池の南側には、歴史と文化が息づく街並みが広がる。老舗の料亭や茶屋が軒を連ね、江戸の風情を今に伝えている。また、近隣には東京藝術大学や東京大学が位置し、文教の薫り高いエリアとしても知られている。

この地を歩けば、時代を超えた物語が聞こえてくるようだ。江戸の昔から現代に至るまで、多くの人々がこの場所で笑い、泣き、そして生きてきた。不忍池の南側は、そんな人々の想いが積み重なった、東京の心とも言える場所である。

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