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上野恩賜公園の中心部、緑豊かな木々に囲まれた一角に、堂々たる騎馬像が静かに佇んでいます。それは、小松宮彰仁親王の銅像であり、明治時代の激動の歴史を今に伝える存在です。
親王は、伏見宮邦家親王の第八王子として生まれ、仁和寺の門跡を務めた後、還俗して軍務に就きました。鳥羽・伏見の戦いや戊辰戦争、西南戦争など、数々の戦役で指揮を執り、明治日本の礎を築く一翼を担いました。また、日本赤十字社の総裁として、社会福祉の発展にも尽力したことで知られています。
この銅像は、明治45年(1912年)2月に建立され、3月18日に除幕式が行われました。彫刻家・大熊氏廣の手によるもので、軍装に身を包み、馬上で凛とした姿を見せる親王の姿が精緻に表現されています。馬の躍動感や装備の細部に至るまで、彫刻家の卓越した技量が感じられます。 (rekigun.net)
銅像の周囲には、春になると桜が咲き誇り、特に「小松乙女」と名付けられた品種が淡い紅色の花を咲かせます。この桜は、親王の名にちなんで名付けられたもので、春の訪れとともに多くの人々の目を楽しませています。 (triipnow.com)
また、銅像の近くには、アメリカのグラント将軍が植樹した記念碑もあり、日米友好の歴史を物語っています。このように、上野恩賜公園は、自然の美しさとともに、歴史の息吹を感じることができる場所です。
訪れる人々は、親王の銅像を前にして、明治の時代に思いを馳せ、彼の功績とその時代の息吹を感じ取ることでしょう。そして、四季折々の自然とともに、歴史の重みを静かに受け止めることができるのです。