万座環状列石

秋田県鹿角市の大規模な先史時代の遺跡

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秋田県鹿角市の静寂な大地に、時を超えた神秘が息づいている。大湯環状列石、万座環状列石と野中堂環状列石の二つのストーンサークルが、約4000年前の縄文時代後期に築かれたこの地の歴史を物語る。

万座環状列石は直径約52メートル、野中堂環状列石は約44メートルの大きさを誇り、それぞれ数千個の川原石が精巧に配置されている。これらの石は、遺跡から2~4キロメートル離れた大湯川から運ばれたもので、その労力と情熱には驚嘆せざるを得ない。 (city.kazuno.lg.jp)

環状列石の中心から北西側には「日時計状組石」と呼ばれる配石があり、これは夏至の日没方向とほぼ一致するように配置されている。縄文人たちは、太陽の動きを観測し、季節の移ろいを感じ取っていたのだろう。 (jomon-japan.jp)

発掘調査により、環状列石の周囲からは掘立柱建物跡や貯蔵穴、土偶、キノコ形土製品、足形付土版など、多くの祭祀用具や生活道具が出土している。これらは、子孫繁栄や豊作、自然への感謝を祈る儀式に使用されたと考えられている。 (city.kazuno.lg.jp)

大湯環状列石は、縄文時代の精神文化や社会構造を理解する上で極めて重要な遺跡であり、2021年には「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録された。 (jomon-japan.jp)

この地を訪れると、遥か昔の人々の息遣いが聞こえてくるような気がする。彼らが石を積み、太陽を仰ぎ、自然と共に生きた証が、今もなおこの地に息づいている。大湯環状列石は、私たちに縄文の風を感じさせ、時空を超えた旅へと誘ってくれる場所である。