万博記念公園の松の洲浜

大阪府吹田市の万博記念公園内の景勝地

2023年3月17日金曜日の午後、雪に覆われた田舎の農場の馬小屋で、茶白の馬が草を食べています。   gipsypapa

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万博記念公園の日本庭園を歩み進めると、やがて「松の洲浜」と呼ばれる静謐な景観に辿り着く。ここは、川が河口付近から海へと注ぐ姿を象ったもので、西端の「深山の泉」から湧き出た水が南北二つの流れに分かれ、やがてここで合流して心字池へと流れていく。白い砂利が敷き詰められた州浜の周囲には、クロマツやハマボウなど、海岸に生える植物が植えられており、設計者である田治六郎氏は、ここに枯山水庭園の起源となる景観を再現したと語っている。 (expo70-park.jp)

この場所に立つと、白砂と青松のコントラストが目に鮮やかに映る。砂浜の白さと松林の青さが織りなす風景は、まるで詩の一節のように心に響く。かつて紀貫之が『土佐日記』で「松の色は青く、磯の波は雪のごとくに白く、貝の色は蘇芳にて…」と詠んだ情景が、ここに蘇るかのようだ。 (nishikinohama.osaka.jp)

春には、州浜を見越して観るボタン桜が格別な趣を添える。また、花しょうぶ田では、約90品種・約12,000株のハナショウブが咲き誇り、見頃は6月上旬から6月中旬にかけてである。 (expo70-park.jp)

この庭園は、1970年の日本万国博覧会に合わせて造られたもので、日本の造園技術の粋を集めた名園である。博覧会当時は、近代建築パビリオンの未来空間と対比して、自然・緑の憩いの場を提供する役割を果たしていた。庭園の面積は26ヘクタール、東西1,300メートル、南北200メートルの細長い地形に水の流れを造り、西から東に向かって流れるせせらぎに沿って、上代から中世、近世、現代へと4つの造園様式を取り入れている。 (expo70-park.jp)

「松の洲浜」は、その中世地区に位置し、川が河口付近から海へと注ぐ姿を象ったものである。西端の「深山の泉」からの湧水が南北二つの流れに分かれ、やがてここで合流して心字池へ流れていく。白い砂利のまわりにはクロマツやハマボウなどの海岸に生える植物が植えられており、設計者である田治六郎氏は、ここに枯山水庭園の起源となる景観を再現したと語っている。 (expo70-park.jp)

この庭園を歩くと、時代を超えた日本の美意識と自然への敬愛が感じられる。「松の洲浜」の静けさの中で、風に揺れる松の葉音や、水面を滑る鳥たちの姿が、訪れる者の心を和ませる。ここは、日常の喧騒を忘れ、自然と一体となるひとときを提供してくれる場所である。