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京都市北区、今宮神社の東門を抜けると、参道の両脇に歴史を感じさせる二軒の茶店が佇んでいます。その一つ、「一文字屋和輔」、通称「一和」は、長保2年(1000年)に創業し、千年以上の時を超えて「あぶり餅」を提供し続けています。
店先では、女性たちが親指ほどの大きさにちぎった餅を竹串に刺し、きな粉をまぶして炭火で炙っています。香ばしい香りが漂い、焼き上がった餅には特製の白味噌ダレが絡められます。この白味噌ダレは、季節や気温に応じて微妙に味が調整され、保存料を一切使用しないため、賞味期限は当日限りです。持ち帰りも可能ですが、3人前からの注文となり、早めにいただくことが推奨されています。 (furafurakyoto.com)
店内には、平安時代から使われている「くだり井戸」があり、らせん状の階段を下りて水を汲み上げる形式です。この井戸の水は、現在もお茶の用水として使用されています。また、室町時代の手水鉢や安土桃山時代の屋根の鍾馗など、歴史的な遺物が随所に見られます。 (business.nikkei.com)
店の建物は、元禄年間(1688年~1704年)に建てられた部分と、大正時代に増築された部分があり、京都市の景観重要建造物に指定されています。座敷からは中庭を眺めることができ、四季折々の風情を楽しむことができます。 (business.nikkei.com)
一和のあぶり餅は、今宮神社に奉納された斎串を再利用しており、疫病除けや無病息災を願う縁起物として親しまれています。その素朴で温かい味わいは、千年の歴史を感じさせ、訪れる人々に安らぎと幸せをもたらしています。 (furafurakyoto.com)