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立川駅北口を出て、わずか数分歩を進めると、都市の喧騒がアートの静寂へと変わる場所がある。そこは「ファーレ立川」、かつて米軍基地であった広大な土地が、1994年に新たな命を吹き込まれたエリアだ。「ファーレ」とは、イタリア語で「創る」を意味する「FARE」に立川の頭文字「T」を加えた造語で、その名の通り、創造の息吹が満ち溢れている。 (faretart.jp)
この街区には、世界36か国から集まった92人のアーティストによる109点のパブリックアートが点在している。車止めやベンチ、街灯、換気口といった日常の機能が、アートとしての新たな表情を見せる。例えば、フランスのアーティストグループ・イーエフペーによる街灯は、夜になると幻想的な光を放ち、通りを照らす。また、オーストラリアのヴァラマネシュが手がけた椅子と本の彫刻は、図書館の横で静かに佇み、知識と休息の象徴となっている。 (4travel.jp)
この街のコンセプトは、「世界を映す街」、「機能を物語に」、「驚きと発見の街」の三つ。都市の機能がアートへと昇華し、訪れる人々に驚きと発見を提供する。作品には説明板が設置されておらず、鑑賞者自身が自由に感じ、解釈することが求められている。そのため、歩を進めるごとに新たな発見があり、まるで街全体が美術館のようだ。 (faretart.jp)
ファーレ立川の誕生から30年が経過し、市民ボランティア団体「ファーレ倶楽部」が結成され、アートガイドや清掃活動、ワークショップなどを通じて、アートと街の魅力を伝え続けている。彼らの活動により、これまでに2万人以上がファーレ立川アートを体験し、その魅力を共有してきた。 (faretart.jp)
この場所は、単なる再開発地区ではなく、アートと都市機能が融合した独特の空間である。訪れるたびに新たな発見があり、日常の中に非日常を感じさせてくれる。立川の街を歩くとき、ぜひこのアートの森を訪れ、都市と芸術が織りなす物語に耳を傾けてみてほしい。