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万博記念公園のパビリオン東側に足を踏み入れると、時の流れが静かに交錯する場所に立っていることに気づく。ここは、1970年の大阪万博の記憶が今も息づく地であり、過去と現在が織りなす風景が広がっている。
朝の柔らかな光が公園を包み込み、緑豊かな木々の葉がそよ風に揺れる。鳥たちのさえずりが静寂を彩り、遠くからは子供たちの笑い声が微かに聞こえてくる。この場所は、都市の喧騒から離れ、心を落ち着ける静寂のオアシスとなっている。
視線を上げると、岡本太郎の傑作「太陽の塔」がそびえ立つ。高さ約70メートルのこの塔は、未来、現在、過去を象徴する三つの顔を持ち、その独特なデザインは訪れる者の心を捉えて離さない。塔の内部には、生命の進化を表現した「生命の樹」があり、原生生物から人類までの進化の過程を辿ることができる。この塔は、万博のテーマであった「人類の進歩と調和」を体現している。
塔の近くには、「EXPO'70パビリオン」が佇んでいる。かつての鉄鋼館を改装したこの記念館では、大阪万博の熱狂と興奮を今に伝える展示が数多く並ぶ。当時の写真や映像、各国のパビリオンの模型、ホステスたちのユニフォームなど、約3000点の資料が展示されており、訪れる者を55年前の万博の世界へと誘う。特に、直径10.6メートルの「黄金の顔」は圧巻で、その迫力に息をのむ。
公園内を歩くと、四季折々の花々が咲き誇る自然文化園や、日本の伝統美を感じさせる日本庭園が広がっている。春には桜が満開となり、夏にはひまわりが太陽に向かって咲き誇る。秋には紅葉が公園を彩り、冬には静寂の中に凛とした美しさが漂う。これらの風景は、訪れる者の心を和ませ、日常の喧騒を忘れさせてくれる。
また、空中観察路「ソラード」を歩けば、鳥の目線で公園全体を見渡すことができる。全長約300メートルのこの遊歩道からは、太陽の塔や日本庭園、自然文化園など、公園の魅力を一望することができる。風を感じながらの散策は、心地よい時間を提供してくれる。
万博記念公園のパビリオン東側は、過去の栄光と現在の平穏が共存する特別な場所である。ここを訪れることで、かつての万博の熱気を感じると同時に、自然の美しさや静寂の中で心を癒すことができる。この地を歩けば、時を超えた旅をしているかのような感覚に包まれるだろう。